| ■ブライ神父とチャールズ 車の中 |
| ブライ神父: |
この陪審員の話はちょうどいいときに来たと思わないかね、チャールズ?
君が愛に生きたいというのはなにも隠し立てするようなことじゃないだろう。それもひとつの人生経験だ。
それと同時にそのことは正しい判断をするためにそんなに君の気をもませている。
しばらく休みをとってこの事件の判決に没頭するんだ。それから自身のことに関してももう一度… |
| チャールズ: |
僕はもうしばらくは戻れないってわけですね。 |
| ブライ神父: |
いや別にそういうことを言っているわけではないよ。 |
| チャールズ: |
いや、そうでしょう。 |
| ブライ神父: |
…ああ、確かにそうだ。 |
| ■ジョニーが走っている |
| ジョニー: |
すみません、すみません、ごめんなさい。
エディ・ファノンさん?
|
| エディ: |
ああ。…座ったらどうだね? |
| ジョニー: |
すみません。あの、電話しようと思ったんですが、電話番号を教えてもらえなくて。 |
| エディ: |
ああ、構わんよ、君は間違っとらん。マリア、紅茶を二杯持ってきてくれ。
それで…、大丈夫かね? |
| ジョニー: |
ええ…まあ… |
| エディ: |
最初の日は薬をあびるように飲んだんだろう?もうじき良くなるとも。
海にでも行って気分転換するといいぞ。ほれ、あのいまいましいビーチとかな。
それで、どうしたっていうんだ? |
| ジョニー: |
ええ、昨日家に帰ってこれを見つけたんです。
どうも陪審員になるように召集されてるみたいで。
断ればよかったんですが、これが来た時病院に行ってたもので。
|
| エディ: |
なんで断りたいと思うんだ? |
| ジョニー: |
ここのところ大変なことばかりだと言われてますから。 |
| エディ: |
このことで誰かが死ぬのかね? |
| ジョニー: |
いえ。 |
| エディ: |
君の家に誰か住まわせたり貸したりしなければならない? |
| ジョニー: |
いいえ。 |
| エディ: |
そりゃあ大変なことだろうな。
陪審員になるってのはごたごたと一ヶ月くらいかかっちまうし。 |
| ジョニー: |
え…?まさかやれって言ってるわけじゃ…。 |
| エディ: |
君は治したいと思っているんだろう? |
| ジョニー: |
ええ。 |
| エディ: |
君は英国医師協会のメンバー? |
| ジョニー: |
いえ。 |
| エディ: |
次の質問は? |
| ■ピーターとマリオン 家の中 |
| マリオン: |
あらまあ、スーツを着てるの? |
| ピーター: |
ああ。 |
| マリオン: |
誰もスーツなんて着てないわよ。しかも一張羅なんて。 |
| ピーター: |
ああ、だがこれで僕が選ばれるんじゃないかと思ったんだ。 |
| マリオン: |
あなたは選ばれてるんでしょう? |
| ピーター: |
いやいやいや、僕みたいな者が向こうで選ばれるんだ。あの書類に書いてあった。
こうしておけば彼らは皆僕を見てきっとその効果に感心すらするはずさ。
光栄さを示しておかなければ。 |
| マリオン: |
光栄って何が?陪審員をすることが? |
| ピーター: |
もちろんさ。
法廷に立って判決を己の手の内ににぎるなんてことは市民の義務としてとても素晴らしくないか? |
| マリオン: |
2週間あなたは判決のことばかりを考えるのかと思ってたけど? |
| ピーター: |
僕の年代の者がこんなふうにこの国のために何かをする機会を恵まれることなんてそうそうないだろう。
僕は思うんだ。それは…重要なことだと。 |
| マリオン: |
あら…
そんな情熱的にあなたが思っているんだって言うのなら私も変わるわ。 |
| ピーター: |
何だって? |
| マリオン: |
弁護側が陪審員を決めるって言ったわよね? |
| ピーター: |
ああ、それが? |
| マリオン: |
ええ、それじゃあ弁護側が帰ってほしい人を決めるのよね?
今のあなた、イタリア人かなんかの妨害者みたいよ。
選ばれたいんだったらもっと普通の人の格好をしていったら? |
| ■裁判所 |
| レポーター: |
本日あの少年が15歳のクラスメイト、ジョン・メイヤーを殺害した事件の裁判が始まります。 |
| レン: |
ほら、着いたぞ。楽しみにしてた陪審の拘束だ。 |
| ローズ: |
もう行かないと。 |
| レン: |
今までずっと市民の義務について言ってきたが、それがこんな形で実現するとはな。
見てみろよ。でかい裁判みたいじゃないか。クソでかい殺人裁判だ。 |
| ローズ: |
汚い言葉はやめて。 |
| レン: |
ずっと来てやるよ。 |
| ローズ: |
そんなことしなくていいわ。 |
| レン: |
長い裁判になるみたいじゃないか。俺も来る。 |
| ローズ: |
いいえ、大丈夫よ。じゃあまた後で。 |
| レン: |
ああ…。それは何だ? |
| ローズ: |
ただドライクリーニングに出すだけ。 |
| レン: |
迎えに来ようか? |
| ローズ: |
いいえ、自分で帰るわ。 |
| レン: |
きれいだ…。 |
| ローズ: |
やめてレン。 |
| レン: |
愛してるよ。わかってるはずだ。 |
| ローズ: |
また後で…。 |
| 被告擁護者: |
正義を!正義を! |
| マーシア: |
大丈夫?熱があるの?私今裁判所なのよ。病気なら仕方ないわ。
あ、最後にジョイが来られるかどうか教えてくれない?長引きそうならランチタイムに電話くれる? |
| ガードマン: |
すみません奥様、こちらでは… |
| マーシア: |
ごめんなさい、行くわ。 |
| 被害者の兄: |
この野郎!殺人者! |
| ウォーレン: |
よし、ランチタイムまでちょうどいい長さの15分の審理だぜ。 |
| ■法廷 |
| 女性: |
エルシー・ビーミッシュ? |
| エルシー: |
はい。 |
| 女性: |
ジェレミー・クロフォード? |
| ジェレミー: |
あ…はい。 |
| 女性: |
ジェシカ・ガーランド? |
| ガードマンA: |
鍵や財布を出してください。はい、どうも、ありがとうございます。 |
| ガードマンB: |
上にお一人でどうぞ。 |
| 女性: |
ウォーレン・マリー? |
| ウォーレン: |
はい。 |
| 女性: |
ジョナサン・ドン? |
| 案内の女性: |
そちらです。 |
| 女性: |
ジョナサン・ドン? ジョナサン・ドン? |
| ジョニー: |
はい。 |
|
裁判において… 証拠に基づいた真実を… …神に誓います。 |
| 女性: |
被告ドゥヴィンダ・シンは5月15日ヒースに向かい被害者ジョン・メイヤーを殺害した。
被告は殺人の罪で告発されている。彼は無罪を主張する。 |
| 被害者の兄: |
殺人者!うそつき! |
| 裁判長: |
傍聴人は静粛に! |
| 被害者の父 |
…そんなふるまいはするな! |
| マーシア: |
なんてこと… |
| ピーター: |
なんてこった… |
| ■原告側の冒頭陳述 |
| 裁判長: |
ルイス君。 |
| ルイス弁護士: |
はい、裁判長。
陪審員の皆さん、今回の刑事裁判における弁護人をご紹介しましょう。
こちら補佐のミス・ブレイク、
そして被告側が私の慈悲深い友人ミスター・コーディングと彼の補佐のミスター・ドゥジェジーです。
まず始めに書類をご覧いただくことにしましょう。
これは公式な書類ですから法的な専門用語ばかりが書かれていますね。
よろしかったら私が空白を埋めて差し上げましょう。
昨年の5月15日、朝の6時半。
被告人のドゥヴィンダ・シンは家を出ました。
通学カバンを背負って、階段を降りて、朝食をとり、家族にいってきますと言ってね。
ところが、彼は学校に向かう代わりに反対の方向に歩いていったのです。
彼は寺院へと通じるハイ・ストリートへと向かいました。
彼は寺院へ向かっていたのです。そして彼はそこに侵入しました。
彼は祈りをささげたかったのでしょうか?
静かに精神集中するため?信仰心のため?いいえ。それは長く計画してきたことの一部だったのです。
彼はその計画のため、2キロ、90センチの骨董剣を寺院の地下に隠していたのです。
そのすぐのちに殺人の凶器となる2キロの剣をね。
彼は剣を持ち出すと後ろ手に鍵を閉め、元来た道を戻っていったのです。
その姿は急迫していたようだとユニオン・デイリーズ料理店の運転手によって証言されています。
それから彼はヒースへと、ヒースランドの広大なエリアを北に向かったのです。
彼は剣を抜いて攻撃態勢に入りました。彼はヒースの北西、コーツにやってきました。
そこで彼はうずくまり待っていました。なぜか?なぜ彼は急いでいたのか?
…なぜなら彼は知っていたからです。
その時間に彼のクラスメイトのジョン・メイヤーがそこを通るのだということを。
陪審員の皆さん、ここで彼、ジョン・メイヤーについてお話させていただきましょう。
彼は15歳の、優しく、友達も多い、かしこい生徒でした。
彼は暖かい家庭の中で育てられ、人気者でした。被告人はその人気をねたんでいたのでしょう。
おそらくこの深く根付いたねたみが、彼を襲うことのもともとの動機だったのではないでしょうか。
これを皆さんにお見せすることは心が痛むのですが、証拠をご覧いただきます。
彼は首、腕、肩を切ったのです。被害者の手や前に構えた腕も。
目撃者の証言は常に勇敢なものですが、そこには誰もいませんでした。
最後に被告人は指紋をふき取った剣を遠くに投げ、犯罪を見られるのを恐れその場を去りました。
彼はヒースを横切り外に出ました。証言者によってその行動が目撃されています。
西門から出てきてカナウ川のところまで走っている姿です。
彼はカナウ川までやってきましたが、時間がありません。彼は制服を脱ぐと
―そう、もっとも重要な唯一の証拠となるであろう被害者の血が付いた制服です―
彼はその制服を脱ぐと準備してきたジャージに着替えて、証拠をカナウ川に投げ入れたのです。
近づいてくる人影が見えると彼は恐れたように反対の方向に去っていきました。
彼は床屋に行きます。 |
| 床屋: |
『本当にいいのかね?』 |
| ドゥヴィンダ: |
『はい。』 |
| ルイス弁護士: |
彼はそこで髪を切ってくれるように頼みました。
彼はウォータールー駅に向かい、国を去ろうとしますが時すでに遅し、
彼はすでに警察にマークされていたのです。
こちらにいらっしゃる陪審員の皆さん、ドゥヴィンダ・シンはどのように単独でこの計画を練り、
そして実行したのでしょうか。この剣、血染めの制服…、
そして彼の普通ではない攻撃性と凶暴性を見ていただければ自ずとひとつの結論に達すると思います。
この刑事事件で昨年5月15日ドゥヴィンダ・シンは、
衝動的に彼のクラスメイト、ジョン・メイヤーを冷血にも殺害したのです。
裁判長、それではこれで原告側の冒頭陳述を終わります。 |
| 裁判長: |
それでは2時にまたお集まりを。 |
| ■法廷の外 |
| コーディング弁護士: |
あの少年はたいしたものです。私の言った通りに頭を上げて裁判を聞いてるんですからな。お気を落ち着けて。
まだ裁判は始まったばかりなんですから。まあ状況は不利ですな。
全ての証拠が彼がやったと示唆している。 |
| ドゥヴィンダの父: |
ええ、息子がやったと思われ… |
| コーディング弁護士: |
いやいやお父さん、まだそうおっしゃるのは早い。数日で彼の弁護が始まります。 |
| ドゥヴィンダの父: |
そちらはどうなってますか? |
| コーディング弁護士: |
ええ、とても上手くいってます。警察の捜査にも穴がありますからな。 |
| 助手A: |
ただまだひとつだけ追えていないものが… |
| コーディング弁護士: |
ああ、確かにあるが、今すぐにというわけではない。上手くいくと思います。 |
| 助手A: |
陪審を受けますか? |
| ドゥヴィンダの父: |
わかりませんが…。どう思われます? |
| コーディング弁護士: |
ロンドンの陪審ですからな、どこかのよその国とは違いますよ、そうだろう? |
| 助手A: |
ええ。 |
| コーディング弁護士: |
(そうだろう?と合図) |
| 助手B: |
その通りです。 |
| ■食堂 |
| エルシー: |
ご一緒してもいいかしら?他にどこにもなくて。
コーンウォール・パスティよ。おいしそうだわね。あなたは何を? |
| チャールズ: |
ハムサラダです。 |
| エルシー: |
まぁいいわね。それが最後のだったのよ。それで…どう思う? |
| チャールズ: |
何ですって? |
| エルシー: |
あの少年がしたのかどうかってこと。 |
| チャールズ: |
ランチタイムに陪審員同士がそういう話をしてはいけないんです。 |
| エルシー: |
でもそのことを話すくらいいいじゃない。 |
| チャールズ: |
そうでしょうか。 |
| エルシー: |
だって私たちは一緒に数週間も陪審をするのよ! |
| チャールズ: |
…他の話題を探しましょう。 |
| エルシー: |
あの司祭さんはどなた?今朝あなたと一緒にいた人よ。 |
| チャールズ: |
彼はジャヴェイス・ブライ神父といって僕の指導者なんだ、いや、『だった』んだ。
カソリック司教になるための。 |
| エルシー: |
ええ、知ってるわ。 |
| チャールズ: |
知ってる? |
| エルシー: |
北のほうで女中をしているのよ。ほら洗濯したり掃除したりする…。 |
| チャールズ: |
カソリック教徒? |
| エルシー: |
ええ、そしてあなたは司教さんなのね。 |
| チャールズ: |
いいえ、今のところ僕は司教ではなくて、司教になろうとしているんです。 |
| エルシー: |
………。 |
| マーシア: |
いえ、今日の午後子どものお守りをしてもらえる他の人を探しているのよ。
あずかってもらえる人いないかしら。そう…わかったわ。
いいえ、どうしてもそれまでにはお願いしたいの。
ルビー、私よ。お願いしたいことがあるの。 |
| ■外の通り |
| ジョニー: |
すみません。大丈夫? |
| ローズ: |
ええ、大丈夫。 |
| ジョニー: |
買ったものを見るとその人がわかるんだ。 |
| ローズ: |
本当? |
| ジョニー: |
ああ、ほらこれを見て。健康第一だよ。それに気取らない。
お金に気をつけてる。ペットはいない、子どももいない。
『あなたを夢の世界にいざないます』、だって。 |
| ローズ: |
行きましょう。遅れるわ。 |
| ジョニー: |
あ、待って。 |
| ローズ: |
あら。 |
| ジョニー: |
これを忘れてる。 |
| ローズ: |
大丈夫? |
| ジョニー: |
ああ、大丈夫だ、ああ。 |
| ■食堂 |
| ウォーレン: |
もうじき2時だ。戻らなきゃ。 |
| ジェレミー: |
マーク?マーク・ウォーターズ?待て、戻って来い!
なんてことだ… |
| ピーター: |
大丈夫かい? |
| ジェレミー: |
ああ、大丈夫だ、すまない。 |
| ■法廷 |
| ルイス弁護士: |
証言人ヤン=ミケル・クーコスです。 |
| クーコス: |
神に誓って真実のみを証言することを誓います。 |
| ルイス弁護士: |
フルネームをお教え願えますか。 |
| クーコス: |
ヤン=ミケル・クーコスです。 |
| ルイス弁護士: |
あなたの職業は?クーコスさん。 |
| クーコス: |
ぎゅうにゅう… |
| ルイス弁護士: |
大きな声でお願いします。 |
| クーコス: |
牛乳配達人です。 |
| ルイス弁護士: |
クーコスさん。あなたはユニオン・デイリーズに60年お勤めでいらっしゃいますね。
正しいですか? |
| クーコス: |
はい。 |
| ルイス弁護士: |
あなたはとても長いこと牛乳配達人として仕えてきたわけですね。 |
| クーコス: |
はい。 |
| ルイス弁護士: |
そして今年のベスト社員に選ばれた? |
| クーコス: |
ええ。 |
| ルイス弁護士: |
クーコスさん。
5月15日にハイ・ストリートを通りかかったのは7時38分だったのですね。 |
| クーコス: |
ええ、そうでした。 |
| ルイス弁護士: |
そこであなたは誰かを見たわけですか? |
| クーコス: |
ええ、若い少年を見ました。 |
| ルイス弁護士: |
何か彼の様子でお気づきになったことは? |
| クーコス: |
はい、彼は普通じゃない感じで歩いてました。 |
| ルイス弁護士: |
どのように? |
| クーコス: |
体を傾けて腕に何かを隠しているような感じです。 |
| ルイス弁護士: |
それではクーコスさん、彼がそこに剣を隠していたということもできるわけですね?
そのほかに何か彼についてお気づきになったことは? |
| クーコス: |
彼は早足で歩いていました。 |
| ルイス弁護士: |
それと彼の感情は?彼がどのような感情を持っていただろうか推測できましたか? |
| クーコス: |
彼は怒っているようでした。それに…苦悩しているようでもあった。
まだあの時点では手遅れではなかったのです。
誰かが止めてあげられれば…、私が何かしてあげられたのではないかと思ってしまいます。 |
| ルイス弁護士: |
…どうもありがとうクーコスさん。 |
| 裁判長: |
コーディング君。 |
| コーディング弁護士: |
はい、裁判長。
ああ、なんてこったクーコスさん。
あなたとは違って私は調子がよくないんですよ。
ほらこうやって立つだけでしかめっ面になってしまう。
一息つかせてください。
それともそんなことはないのかもしれません。
私は一息などついていないのかも、もしかしたら私はとても痛がっているのかも、
いやもしかしたら私は胃が痛いのかも、それとももしかしたら…
私はまったく足の痛みを感じずに立ち上がっているのかも。
私の言いたいことはですね。
誰かが私の感情を読み取るなんてことは不可能、そう不可能なんですよ。
今皆さんの前でおっしゃいましたよね。被告人は…苦悩しているようだったと。 |
| クーコス: |
いや…それは… |
| コーディング弁護士: |
急いでいたので単に息が切れてしまったということはありえませんか?
よろしい、彼が苦悩していたとしましょう。しかしあなたはその内容までわかるとでも? |
| クーコス: |
違いますが… |
| コーディング弁護士: |
もちろんですね。それでは殺人を犯そうとして苦悩していたようだ、
などということは全く確かじゃありませんね。 |
| クーコス: |
それはまあ… |
| コーディング弁護士: |
どうもありがとう。
こんな質問、実にくだらない。 |
| 傍聴者: |
(今のは何?最悪…) |
| 裁判長: |
ではまた明日。 |
| 女性: |
皆さんご起立願います。 |
| 被害者の兄: |
おいこの野郎!さっさと出て行け!
あっちへ行け! |
| ■裁判所の外 |
| 被告擁護者: |
正義を!正義を! |
| 被害者の兄: |
正義をだって?僕の弟は死んだんだ! |
| ピーター: |
やあ。どうしたんだ? |
| マリオン: |
迎えに来ないと間に合わないと思ったのよ。 |
| ピーター: |
何に? |
| マリオン: |
私の両親よ。ディナーに来るの。 |
| ピーター: |
嘘だろ… |
| マリオン: |
わかってるわ。努力したんだけど… |
| ピーター: |
今日は初日だぞ。
もし君がこのことを言ってしまったら僕はご両親に離してもらえない。 |
| マリオン: |
今回はきっと大丈夫よ。 |
| ピーター: |
いや、そんなことはない。ご両親のことだからまた無分別に…。 |
| ガードマン: |
移動してください。 |
| マーシア: |
ジョイ!
ジョイ、何してるの?おばあちゃんはどこ? |
| ジョイ: |
あっち〜。 |
| マーシア: |
気は確か?路上で遊ばせておくなんて。 |
| ルビー: |
落ち着いてよ。横で話をしてただけじゃない。 |
| マーシア: |
目を離しておいたら危ないってわからない?
20ポンドあるから。 |
| ルビー: |
お金なんていいわよ。 |
| マーシア: |
そういうわけにはいかないわ。 |
| ルビー: |
元気でね。 |
| マーシア: |
あなたもね。 |
| ルビー: |
明日はどうするの? |
| マーシア: |
大丈夫よ。ベビーシッターを頼むから。 |
| ルビー: |
もしよかったら私がするわよ。 |
| マーシア: |
いいえ、大丈夫だから。 |
| ジョイ: |
おばあちゃ〜ん。 |
| ルビー: |
またね。 |
| ■電話機の前 |
| チャールズ: |
ええ。イザベル・フィッツェランズという女性を捜してます。
F・I・T…そちらで以前働いていたはずなんです。…わかりませんか。そうですか。
ええ、大丈夫です。どうも。 |
| ■マークを追いかけるジェレミー |
| 表札: |
<マーク・ウォーターズ> |
| ジェレミー: |
…やっぱり…。 |
| ■レンとローズ 食事中 |
| レン: |
それで…どうだった? |
| ローズ: |
大丈夫よ。 |
| レン: |
大丈夫、とは? |
| ローズ: |
そのことについて話はしないわ。 |
| レン: |
そのこと? |
| ローズ: |
審議のこと。厳しいの。 |
| レン: |
夫でも駄目だっていうのか。 |
| ローズ: |
駄目。 |
| レン: |
少しだけでも駄目だっていうのか。 |
| ローズ: |
駄目よ。何も話せることはないわ。 |
| レン: |
何もだって?じゃあ何を話せっていうんだ。 |
| ローズ: |
わからない。
テレビを見てくるわ。 |
| レン: |
片付けはどうするんだ? |
| ローズ: |
作ったのは私よ。 |
| レン: |
俺は一日中働いてきたんだぞ。 |
| ローズ: |
私もよ。 |
| ■ジョニー |
| ジョニー: |
俺はジョニー。アルコール中毒です。
今日は殺人事件の陪審員として復帰の初日を迎えることができました。
神よ。変えられることなら何でもします。勇気をお与えください。俺は変わりたいんです。 |
| ■ホテル |
| ホテルの管理人: |
廊下の突き当りだ。安い部屋がいいっていう話だっただろ。ここが一番安い部屋だ。 |
| チャールズ: |
ここでいい。 |
| ■ジェレミーの家庭 |
| ジェレミーの息子: |
パパおかえり〜。 |
| ジェレミー: |
ただいま。 |
| ジェレミーの妻(以降フィオナ): |
どうだった? |
| ジェレミー: |
ああ、…興味深かったよ。とてもね。 |
| フィオナ: |
夕食あるわよ。フィッシュ・パイを作ったの。 |
| ジェレミー: |
おいしそうだ。 |
| フィオナ: |
あなた、大丈夫? |
| ジェレミー: |
大丈夫さ。 |
| ■ピーターとマリオンの家 両親が夕食に来ている |
| マリオン: |
彼ね、今陪審員をしてるの。 |
| マリオンの母(以降エレノア): |
陪審員? |
| ピーター: |
マリー、そのことは…。 |
| マリオンの父(以降マイケル): |
なんて幸運な男なんだ。どの事件だ? |
| ピーター: |
すみませんが、そのことは言えません。 |
| マリオン: |
あら、そんなこと言わないで、ピーター。 |
| ピーター: |
わかってるだろ。そのことは誰とも話をすることができないって… |
| マリオン: |
そんなことないでしょう。殺人事件なんだもの。 |
| エレノア: |
まあ、なんてこと! |
| ピーター: |
マリオン… |
| マリオン: |
16歳の少年がクラスメイトの子を殺したの。未成年でしょう。
大変な騒ぎよ。彼は無実を主張しているし。 |
| マイケル: |
そうなのか? |
| ピーター: |
私はわかりません。 |
| マイケル: |
そんなことを言って、本当はどうなんだ?君はそこにいたんだろう? |
| ピーター: |
まあ、確かに審判ははっきりしてます。ただ証言が彼の犯行を示唆してます。
彼が現場に行って、そして戻ってくるのを目撃されてますから。 |
| エレノア: |
まあ…。 |
| マイケル: |
そうか。 |
| ■被害者の父兄がバーに入ってくる |
| 被害者の父(以降 父親): |
どうも。皆さんどうもありがとう。皆さん私の友人だ。家族といってもいい。
大家族です。息子よ。家族の一員を亡くすとは…それも息子を…。
こちらにいらっしゃる方も愛する者を亡くされたことがおありでしょう。
妻とは幾度も話しました。息子にはさよならも言えなかったな、と。
これからはこの子たちを大切にして生きていきます。ありがとう。
皆さんに感謝します。皆さんのご親切と支えに。すみません、失礼します。 |
| 被害者の兄(以降 兄): |
そろそろ事を起こさない?父さん。 |
| 父親: |
駄目だ。人々は鷹のように見張っている。
いざ何か起きたら裁判を中止させて、審判が下るまでに2年はかかっちまうだろう。 |
| 兄: |
じゃあどうするっていうの? |
| 父親: |
だから!裁判を信じて待つんだよ。わかるだろ!?
証拠だって奴を不利にしてるじゃないか! |
| 兄: |
だから? |
| 父親: |
だから、裁判の経過を待つしかない。奴は絶対に不利だ。きっと奴はしっぽを出すさ。 |
| 兄: |
陪審員は?奴らにかかってる。 |
| 父親: |
奴らには手を出すな。わかったな。何もするな。 |
| 兄: |
父さんは甘いな。 |
| 兄: |
早く事を起こそうぜ。 |